今こそプログレ者に聴いて欲しい「赤い公園」
エディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったショックが思いのほか尾を引いていて、自分で驚いていたんですが、その矢先に更なる衝撃が。
「赤い公園」の津野米咲(つの まいさ)が急逝。享年29歳。
これは、本当にガックリ来ました。
ブログに書くつもりはなかったんだけど、気持ちに折り合いをつけとかないと、いつまでも引きずりそうなので書くことにします。
語る会(2013年)
時は2013年。
ボクは、とあるプログレ関連のイベントに参加しました。
このブログにちょいちょい出て来る「プログレの師匠」が、そのイベントの運営に関わっていて、お誘いを受けたのでした。
イベントの内容は、いにしえのレコードコンサート的なもので、それ用にボクが最初にチョイスしたのが以下の3曲。
●飾り窓の出来事 Part2 / MANDRAKE
("Unreleased Materials Vol.1")
●Il bandito del deserto / Area
("1978 Gli Dei Se Ne Vanno, Gli Arrabbiati Restano!")
●Introduction ~宇宙の創造物 / SUPER JUNKY MONKEY
("地球寄生人")
一応、説明しておくと、マンドレイクは、P-MODELの前身のプログレバンド。
この「飾り窓の出来事Part2」は、「これをプログレと呼ばずして何をプログレと呼ぶのか」と言うくらいプログレプログレした曲。(くどい)
アレアは…まぁいいか。
みんな大好き!イタリア最高峰のジャズロック・プログレバンド。
「これをプログレと呼ばずして何をプログレと(ry
スーパー・ジャンキー・モンキーは、ハードコア・バンドだけど、アルバムの1曲目を飾るこの曲は「プログレ度」が高くて「これをプログレと呼ばずして何をプ(ry
この中で、SUPER JUNKY MONKEY の曲は、やや飛び道具的ではあるものの、それはジャンル的な乖離による違和感の部分だけの話。
この “Introduction” と言うチョイス自体は、「ね?聴けばわかるよね?皆さんなら」と言う、ある種、破綻を嫌った日和見な選曲だったわけです。
でも、ここはやはり、もっと飛び道具的な1発が欲しい。
「これはオレ的にプログレ」
「あんたがどう思うかなんて知らんわ」
「オレがプログレと思ったら、それはプログレ」
そう言う1曲を追加したい。
邂逅
で、その頃、YouTube で何故かボクへのお薦めとして頻繁に上がってきたのが、この「赤い公園」でした。
レトリックに富みまくった歌詞。
四人囃子の「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」のアンサーソングであるかのような内容。
間に挿入される「いかにもプログレっぽい」慣用表現のinterlude。
(しかも、そのフックを1回しか出さない潔さ!)
しかし何にも増して、曲全体に通底する「老獪で極めて習熟度の高い」ソングライティングのスキル。
個人的には、脳内で小川美潮さんの声に変換されて聴こえる楽曲です。
(あ、一応書いておきますが、現・チアキ、佐藤千明さんのVo.も最the高に高級である事に異論はありません)
師匠に、最後の1曲として追加を依頼したところ、いたく気に入っていただけて「今回、このイベントに因んだ収穫ですわ」とのお言葉を頂戴しました。
そして、この時点で、すでに、2020年のこの時を予見するようなボクと師匠の会話がありました。
(もっとも、これは、赤い公園を知る人であれば、皆さん、心のどこかで常に心配に思う部分ではあったろうと思われ)
あ、それと、さっきからプログレプログレ言うとりますが、津野さんが、この「交信」で「プログレっぽいものを作ろう」としたとは、思ってはいません。
でも、
「これをプログレと呼ばずして何をプログレと呼ぶのか」
「これをプログレと呼ばずして何をプログレと呼ぶのか!」
その当時、他にお薦めに上がってきたのが、これ。
今どきこんな事書くと、ポリコレ警察が飛んできそうだけど、これらの曲を聴いた時の当時の気持ちを敢えて書くと、
「(曲を書いた時点で)20歳にも満たない女の子が、何でこんな曲を紡ぐ事ができるのよ。この楽曲の老獪、老練さ加減は50代、60代の大家の物でしょ、どう考えても」
でしたね。
素人ながら曲を書いたりする人間の1人として、ボクは心底、この津野米咲と言う人の才能に嫉妬したのでした。
老獪萌え
ボクの中で「老獪萌え」補正ってのが、あるんです。
「若いのに、こんなジジイみたいなプレイ(音楽的な意味で)するなんて!もー!(泣)」ってのに弱いんだよね。
ボクが、その気持ちを人に説明する時に使う、この「老獪萌え」と言う言葉を最初に考え付いたのは、赤い公園に対してでした。
そして、ボクにとって「元祖・老獪萌え」バンドと言えるのが、SUPER JUNKY MONKEY です。
SUPER JUNKY MONKEY は、今どきこんな事書くと、ポリコレ警察が飛んできそうだけど(2回目)、当時思ったのは、
「(当時)20歳過ぎくらいの女の子が、何でこんな老獪な卓抜たる演奏ができるのよ。今30代以上の男の演奏でしょ、これ」
でした。
(マキシマムザホルモンの上ちゃんもインタビューで似たような事を言っていた)
赤い公園は、メンバー全員のスキルの高さとバランス、わちゃわちゃ感を含めて、ボクにとっては、SUPER JUNKY MONKEY を彷彿とさせる部分があります。
事実、津野さんとベースの藤本ひかりさんは、スージャンに言及してますね。
SUPER JUNKY MONKEYのライブみてきたーーー!度肝抜かれすぎて、めいっぱい拍手するしか出来なかった。どきどきしたああぁ
— 藤本ひかり (@hkririri) 2015年12月25日
(津野さんの選曲:何 / SUPER JUNKY MONKEY)※web.archiveから
(津野さんの選曲:あいえとう/A・I・E・T・O・H / SUPER JUNKY MONKEY)※web.archiveから
これを知った時は非常に嬉しかった。
そして、だからこそ悔しい。
SUPER JUNKY MONKEY は、中心人物であるヴォーカルの MUTSUMI が1999年に亡くなり、以降は解散こそしていないものの、数年おきの復活ライブ以外は目立った活動はしていません。
津野さん、そんなところまで合わせなくてもよかったのに…。
曲を聴くたびに得られた、あの新鮮な驚きが、もう得られなくなるのか、と思うと本当に残念です。
■赤い公園 - NOW ON AIR
実は「交信」の次くらいに、この曲が好きだったりする。
■赤い公園「Highway Cabriolet」Music Video
■PassCode - 一か八か (Zepp Tour 2019 at Zepp Osaka Bayside)
師匠は気に入ってなかったようだけど、他の人に提供した楽曲では、これが一番好きかも。
今田夢菜のグロウル/スクリーム、ライブでこのクオリティは凄い。
■赤い公園 「絶対零度」Music Video
この曲も凄いと思ったなぁ。
この「絶対零度」に関しては、この夏、師匠とこんな話をしていました。
そのフックの1つ1つはキャッチーだったりするのに、どこもかしこも、一ひねり二ひねりしてあって、もー(泣)。
その姿勢、プログレにしてパンク!
そして、津野米咲のメンタルが心配w
「こんな試合を続けていたら、10年持つ身体が3年、4年しか持たないかもしれない」(byアントニオ猪木)
そして、以下は、公式チャンネル最後の2曲…。
そして、今一度、この曲を。
「これはオレ的にプログレ」
「あんたがどう思うかなんて知らんわ」
「オレがプログレと思ったら、それはプログレ」
「これをプログレと呼ばずして何をプログレと呼ぶのか!」
不世出の天才・津野米咲
R.I.P.
<追記>
ゆうパラのリンクが切れていたので、Internet Archive のリンクで貼り直しました。
ついでに公式チャンネルの最後の2曲を追加。
それにしても「オレンジ」のPV数、ゼロ1個、足りなくね?
(いや、どの動画もなんだけどさ…)
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